November 23, 2009

PD合唱曲に混声合唱曲「富士の高嶺に」追加

子供が出来てから、映画を観るのも本を読むのもなかなか時間がとれなくなり、残念ながら最近は文化的な生活から遠ざかりつつあります。
作曲の方もやや滞り気味なので、この連休で一念発起、一曲アカペラ混声合唱曲を作ってみました。PD合唱曲シリーズにアップします。

万葉集より山部赤人が書いた富士山賛歌の歌に曲を付けました。
今までこういうご当地モノの詩選びを避けてきたところがありましたけれど、静岡県に住んでいて(それに山梨県出身だし)、地元の面々で富士山の歌を歌うことも悪くないなあと思えるようになってきました。(国民文化祭の影響?)
結局4分とやや長い曲になり、すぐ歌えるくらい簡単とは言い難いけれど、何かの折に県内で取り上げられると嬉しいですね。

バッハの曲で「十字架音型」というフィグーラが使われることがありますが、この曲の中に「富士山音型」というのを仕込んでみました。っていうか、あまりに分かり易いのですぐわかるでしょう。
MIDIデータも同時にアップしたので、音を聴きながら楽譜を眺めてみてください。

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November 18, 2009

今年の初演祭り終了!

アンサンブルMoraの演奏会が無事終わりました。
今回初めて詩を書かれた宮本苑生さんとお会いすることができました。本番ではアンサンブルMoraの皆さんに熱のこもった演奏をして頂けました。本当にお疲れ様でした。また今回の演奏会を通じて桑原先生にはいろいろとお世話になりました。

さて、今年は私にとってかつてない数(といっても四つ)の初演がありました。もう一度まとめてみましょう。
2月1日児童合唱のための「しりとりうた」(多治見少年少女合唱団)
8月23日混声合唱組曲「生命の進化の物語」(東北大学混声合唱団)
11月7日混声合唱のための「辞世九首」(ヴォア・ヴェール)
11月17日二群の女声合唱のための組曲「へんしん」(アンサンブルMora)

しかも後ろ三つは私が指揮。ヴォア・ヴェールは当然としても、東北大とアンサンブルMoraについては、指揮者として何度か練習にお邪魔しての初演。他団体と演奏会だけでなく、曲作りの過程まで関わることになって、大変楽しい時間を過ごさせて頂きました。
そのため作曲だけでなく、指揮という仕事の重みについてもいろいろ考えるきっかけになりました。限られた練習回数で何にこだわって音楽を作っていくのか、それが結局指導者としての力量であり、また個性でもあるのでしょう。まだまだ経験は足りないけれど、自分なりの世界観が明瞭になってきた感じがしています。

ということで、関係された皆様方、(まだ早いセリフですが)本年は本当にお世話になりました。あらためて御礼申し上げます。

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October 31, 2009

「生命の進化の物語」出版

Evolution先日初演しました混声合唱組曲「生命の進化の物語」がケリーミュージックによって出版されました。
今回も、パナムジカのみの販売となります。
先着30名様には、初演の音源をプレゼントいたしますので、選曲のご参考にぜひ手にとってみて下さい。

特に、この作品は音楽的な複雑さより、ピアノ伴奏を中心にジャズやポピュラー的なリズムを多用しながら、聴衆への分かりやすいメッセージ性を重視して作曲しました。一生懸命練習しないと音が取れない類の曲ではなく、音楽を通して何を伝えるのか、そこに力点を置いて練習し易いのではないでしょうか。
そういう意味で、大学生の合唱団で取り上げてもらうのにちょうど良いくらいの内容だと考えています。

終曲では地球温暖化への懸念とも取れる歌詞を扱います。世の中の関心が高まっている中で、本作品を通して合唱団や聴衆が何かを感じてくれるきっかけになればと思います。
ぶっちゃけ言えば、出版によって本作品が初演だけで終わらない…ことを切に願っております。

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August 13, 2009

「生命の進化の物語」6曲目

6曲目は、実はもはや「生命の進化」を謡う音楽では無くなります。
この曲だけ、地質時代のタイトルが付いていません。架空の百万年後の世界がこの曲の舞台になります。
地球の歴史の時間感覚からすれば、あまりに急激に人類は発展し過ぎてしまいました。自らを過信した人間はこの地球を住めないほどの環境に変えてしまいます。そして人々は、百万年後の地球に戻るために、「ノアの箱舟」よろしく、時間旅行で未来の地球に旅立ちます。
ついに暗黒の地球に降り立った人々は、今こそ、新しい地球を作り上げようと誓いを新たにします。

曲はどちらかというと、ポピュラー音楽的な構造で作られていますが、寂寥感と絶望の中にあるかすかな希望、というテキストの内容を悲しげかつ壮大な雰囲気で表現します。特に終盤の盛り上がりでは、ショスタコービッチ第五番の最後のように執拗なピアノの同音連打で、状況の切迫感や新しい人類の決意を表します。

6曲目のテキストを通して間接的に啓蒙していることは、シンプルに言えば地球環境問題に対して意識を高めようということなのですが、私は反論の余地の無い正義側に立って、ただ正論を述べたいわけでは無いのです。
例えば地球温暖化と言うと、あまりに規模が大きすぎて、私たちのしたことの影響がちっぽけ過ぎるように思えます。しかし、世の中に起きていることは、そのちっぽけなことの集積です。
義務感のようなもので言われたことをやるというのでは無く、一人一人が自ら判断できる主体として、世の中について想像し、行動すべきなのだと思います。
そういった抽象的な人間のあり方を私は密かに主張したいのです。人間の本当の罪とは、想像力の欠如ではないかと思うからです。
それが大学生の歌い手、そして演奏を聴いて下さった聴衆の皆さんにどれだけ伝わるか、私に課した壮大な実験でもあります。

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August 10, 2009

「生命の進化の物語」5曲目

「ぼくのママはミトコンドリアイヴさ〜」という言葉で始まるナンセンス詩。
概念上の存在ではあるにしても、人類の究極のご先祖様であるミトコンドリアイヴがいたからこそ、今の人類の繁栄がある、そんな想いを曲にしてみました。

16ビートの軽快なリズムによる音楽のノリは、ほぼポップス(あるいはラテン系)。ブラスセクション付きのロックバンドで演奏したくなるような音楽です。この上に、来る人類の繁栄を祈る子供の気持ちが託されます。
そしてイヴの子供は歌います。「何かを信じなければ、夢は語れない」と。

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August 09, 2009

「生命の進化の物語」4曲目

生命の進化にとって重要なのは、お互いを攻撃し合う生存競争だけではありません。自ら子を産み子孫を残すことが無ければ種は滅びるのです。
親が子を育て、守っていくために、親は子供に愛情を注ぎます。そういった優しさも生命の進化を語る上での大事な一コマです。

曲は二分音符のシンプルな和音連打による伴奏の上に、想像の「恐竜の子守唄」を恐竜語で(つまりオノマトペのような音節で)歌います。
旋律はベース、テナー、アルト、ソプラノと引き継がれ、後半やや盛り上がった後、ゆっくり子供を眠りに導くように、静かに消えていきます。

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August 04, 2009

「生命の進化の物語」3曲目

ペルム紀の大量絶滅では、生物種の96%が滅亡したと言われています。
3億年近い年月、地球上で大繁栄してきた三葉虫も、このペルム紀の大量全滅のときに全て滅んでしまいました。
楽園を求めてあてども無くさまよい続ける三葉虫たち。迷える者たちは力強く人々を先導する者を盲目的に信じるようになります。そして、三葉虫の一軍は、あるはずの無い楽園に向かって、死への行進に向かっていきます。

行進曲のようなビートの上に、力強いメロディが歌われ、途中、行進の足音なども現れます。断片的な言葉の連呼の後、三葉虫の一軍はソプラノのエキゾチックな歌による先導に従い、力強く行進を続けながら、だんだんと去っていきます。

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August 01, 2009

「生命の進化の物語」2曲目

カンブリア爆発というのはご存知でしょうか?
進化というのは漸次的に少しずつ起きていくと一般には思われますが、世界中の化石を調べると、約5億年前に突如として様々なタイプの動物が現れたことがわかっています。
特に有名な化石の採掘場がバージェス頁岩。この時代の動物をバージェス動物群とも呼んだりします。

カンブリア爆発は生命の歴史の中でも非常に大きなトピックなのですが、それは生物が多様化したことと同時に、激しい生存競争が誕生したことを意味しています。
この中で小さくも逞しく生き、私たち脊椎動物の大元となったピカイア。彼らを賞賛しつつも、私たちの憂いの元となった生存競争(競争社会の出現)に想いを巡らせるというのがこの曲の趣意。

曲全体のほとんどは5/8拍子という変則的な拍子でありながら、流れるようなしっとりとした曲想となっています。

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July 27, 2009

「生命の進化の物語」1曲目

「生命の萌芽」と題した1曲目。意味のある詩がなく、全てオノマトペのような無意味な音節の羅列で歌われます。
ただし、内容としては、太古の海の中で多くの有機物が合成され、それらが組み合わさってついに自己複製の力を持つまでに至る、生命誕生のプロセスを表現しています。
冒頭は"混沌"を表す不気味なピアノ低音の繰り返し。そして、その上にのる旋律の断片。それらは絡み合いながら、次第に位相を合わせていきます。そのうねりが頂点に達した時、ジャズ的なビートに乗ってフーガが始まります。フーガはDNAが子々孫々と受け継がれるために自己複製している様子を模しています。その後、テンポは遅くなり、壮大な生命讃歌のモチーフへと繋がります。

全体的に、ポリフォニックな作りとなっており、純器楽的な雰囲気を持っています。全曲の中で、音楽的に最も複雑で、また密度が高いと言えるでしょう。

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July 21, 2009

「生命の進化の物語」について

今回の作品は、朝日作曲賞の佳作を頂いた「E=mc2」の系譜の科学ネタ組曲。
全六曲中、1、4の2曲が無意味語によるもの。残りの曲の詩は私が書いています。
自ら詩を書く・・・というのは、イタいものが出来てしまう危険性を孕みながらも、それでも楽曲構造から全て自らの手の内にあるということが、楽曲全体の統一性やメッセージ性をより強固なものにしていくはずです。そういう意味で、コンセプトや詩も含め自分が全て構想する、というのは私にとって組曲のあり方の一つの理想型だと思っていました。

各曲名は、地球のいくつかの地質時代の名前とその副題からなります。
1.先カンブリア代 ー生命の萌芽ー
2.カンブリア紀 ーバージェス頁岩ー
3.ペルム紀 ー三葉虫の見た夢ー
4.白亜紀 ー恐竜の子守唄ー
5.第四紀 ーミトコンドリア・イヴー
6.そして、百万年後 ーノアの末裔ー

もちろん、自分で詩を書かなければこんな内容の組曲は絶対に作れません。
一見、エクセントリックな音楽だと思われることでしょう。確かに、一般的な題材とは言い難いのですが、地球の歴史に思いを馳せるとき、今生きている我々がどのような業を背負っているのか、そしてこれからどのように生きるべきなのか、やや大きなテーマですが、そんなことを問いかけてみたいと思っているのです。

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