November 26, 2009

ピアノだけの上原ひろみ

今年も恒例の上原ひろみのコンサートに行ってまいりました。
これまでのレポートは、これこれこれ
結局、毎年浜松のコンサートに行ってるし、CDも全部買ってます。単なるミーハーと化しています。

今年のコンサートは、ついにピアノソロ。
ツアーに先立って発売されたCDももちろんピアノソロで、CDの感想でも書きましたが、ピアノ単音色であっても全く飽きが来ないほど音楽のバラエティに富んでいます。
そして、今日のコンサートも素晴らしいの一言。
いつものワイルドさと、圧倒的なテクニックと音量。そして、ピアノの音だけでなくて、上原ひろみの「唸り声」と「足踏み」も派手なパフォーマンスとして満喫いたしました。
PAを使うかどうか、密かに注目していましたが、PAなし。完全ナマです。でも、全然問題無いくらいあの響きすぎるアクト中ホールを切れの良いリズムで満たしていました。
ピアノなのにまるで持続音を出しているような纏わり付くフレージング、アーティキュレーションが本当に素晴らしく、最高級の音楽を楽しませてもらいました。

会場で売られていたピアノスコアも購入。もちろん私には弾けませんが、今後のジャズ的なフレーズのネタ仕込みに活用する予定。

| | Comments (0)

September 19, 2009

初音ミク ベスト-memories-

Mikumemories初音ミクと聞いて、オタク世界で勝手に盛り上がっている現象と侮ってはいけません。
今までニコ動でたまに聞いていた程度でしたが、結構このベスト盤が売れているということで買ってみました(ちなみにもう一つのベスト盤は買ってません^^;)。
しかし、一通り聞いて思ったのは、もうこれはプロの仕事ですよ~。CD化に際しては多少は再ミキシングやマスタリングなどでオリジナルよりは良くなっている可能性もありますが、それにしても、オリジナルの音楽性の高さもなかなかのものです。普段聞くJ-POPよりももう一段、アレンジや音作りが凝っているし、作曲や詩のセンスもなかなかのもの。作り手の音楽レベルの高さが伺えます。
私もポップスの音楽制作のマネ事をしたこともありますが、これだけのクオリティのものを作れる自信は全くありません。もちろん、趣味で音楽制作をやっていてこれくらいのレベルに達する人もいると思いますが、恐らくこの作り手の中のいくらかはプロとして活動している方もいるのではないかと推察します。

実際、現在のCD不況、音楽産業不況は目を覆うばかりなのです。
CDが売れないから、売れない音楽は作らなくなり、制作が決まってもオリジナル作品の制作費は減らされます。最近はアレンジャーが自宅で作ったカラオケに、歌手が一日スタジオを借りて歌を入れ一枚完成、なんてこともザラです。また、新譜であっても制作費がかからない過去のリマスタリングとか、ベスト盤が増えています。
こういった中で、実際飯を食えているミュージシャンはごく一部で、日頃作曲コンペに提出するために曲を作りつつ、コンビニでバイトしたり、楽器販売店員として生活をしているようなプロミュージシャンはたくさんいます。

こういったワーキングプア的なミュージシャンの中でも十分音楽的な実力があり、クリエイティビティのある人がいても不思議ではありません。そういった人々が、切り詰められた制作費でつまらない要求をするレコード会社相手に仕事をするより、直接賞賛を得られ、音楽的にやりたいことを存分に行える世界のほうが(金銭的対価が無いとしても)魅力的であるのは想像に難くありません。

「初音ミク」現象はまさにそういった状況を反映して現れたものではないかと思うのです。
もちろんオタク的、萌え的な要素で人気が出たのは確かですが、私にはむしろ作り手が「萌え」という市場を意識して作った戦略的な作品のようにさえ思えます。
アーティストがレコード会社やCDショップという中間部分を省いて直接愛好家に音楽を届けることが可能になったことを「初音ミク」が象徴的に成し遂げました。
その後、音楽産業はどうなるのか、個人的にそちらのほうが興味があります。

| | Comments (0)

September 08, 2009

Place To Be/上原ひろみ

Placetobe上原ひろみのピアノソロアルバム。
これまでピアノソロというと、どちらかというとメロディアスでしっとりした曲調だったり、コテコテのジャズだったりして、クリエイティブな側面では実はそれほど期待していなかったのです。
しかし、そんな不安も杞憂に終わりました。1曲目からハードで過激な雰囲気(途中までほとんどミニマルちっくな現代音楽)。超早弾きも複雑な変拍子も健在。ピアノソロという単調に陥りやすい音像をものともせず、多面的なピアノ音楽の深みを追求しているのが良く伝わってくるのです。

終曲は矢野顕子がボーカルで参加。(矢野顕子も若い頃の音楽は過激で大変好きなのだけど・・・)
もちろん、しっとりした曲もコテコテの曲もありますが、何しろ他の楽器が無いだけに純度と密度の高い、凝縮された上原ひろみの世界が楽しめます。おまけのDVDも必見!超おススメの一枚です。

| | Comments (0)

July 04, 2009

三文ゴシップ/椎名林檎

Sanmon五年ほど東京事変としての活動が続いた椎名林檎が、ソロ名義のアルバムを発表。昨年の林檎博といい、ここのところの活動は激しさを増しています。そして、何といってもまるで今のJ-POPのアンチテーゼのような音楽の凝りようが素晴らしい。

このアルバムも、一言でいえば凝りまくってます。あまりに仕掛けが多くて、落ち着いて聞けないほど。
曲ごとにアレンジャーを変え、ラップ、4ビート、ラテン、テクノ、そしてオーケストラサウンドと、あまりに多種多様な音楽が詰め込まれています。
いまどきの制作費の安いJ-POPにはとても真似できない豪華さ。根本的にアルバムを作る際の金勘定の仕方が違っているのでしょう。まず良い音楽ありき、で、必ず売り上げは付いてくる、という自信が無ければ、こんなアルバム作れません。
個人的には、やや変拍子っぽく聞こえるオーケストラ曲「都合のいい身体」がヒット。プログレ好きの私としては、こういうリズムや和音が凝った音楽が好きなんですね。

よくよく読むと、詩も大変面白い。これもJ-POPのアンチテーゼを狙っている感じ。恋愛を歌った曲も随分少ないし。上っ面の音楽かくあるべし、のような感覚を、どうやって覆そうか、いつも彼女はその微妙なラインを狙ってきます。
椎名林檎が、今の日本でクリエータ魂を刺激する稀有なアーティストであることは間違いありません。

| | Comments (0) | TrackBack (2)

June 21, 2009

ザ・ケルンコンサート/キース・ジャレット

Koln1975年にドイツ・ケルンで行われた、ジャズピアニスト、キース・ジャレットのコンサートのCDを購入。
当時、キース・ジャレットはピアノのソロコンサートを全て即興演奏で行うという試みをしており、その中でもこのケルンコンサートの演奏は非常に評価が高く、名盤といわれている音源なのだそうです。
実際聞いてみて、音もクリアだし、なかなかいい雰囲気の音楽。ただし、ジャズと言われると、ちょっと違うかも、というのが率直な印象。ほとんどスイングしてないし、フレージングもロック調だったり、クラシックぽかったり、あるいは、ちょっとウインダム・ヒルっぽい、ニューエイジ的な雰囲気もあります。
恐らくこの演奏は、純粋な音楽として聞くだけでなく、これが全編、準備無しのインプロビゼーションである、という前提で聴くべきなのでしょう。
そう考えると、今この瞬間に音楽を紡ぎだすその過程であるとか、思い付いたフレージングが即興でどのように発展していくのかとか、あるいは高揚した気持ちをどのように処理していくのかとか、一人の音楽家が持つ音楽力が丸裸にされ、それをさらけ出すという非常にスリリングなパフォーマンスだと言えるでしょう。

これは音楽家のあり方を問う行為でもあります。
音楽は、完璧に事前準備され、計算ずくで演奏されるべきでしょうか?それとも、本番の演奏でしか現れない即興性を追求すべきでしょうか?
恐らく、われわれ凡人はそのどちらに振ることも出来ないのですが、本作品では片一方の極端な答えを探すという大変な苦行を自らに課しているのです。そして、それこそが、この音源の大変貴重である所以ではないかと思われます。
私には、ある意味哲学的で、非常に興味深い試みのように感じられたのです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

June 14, 2009

某コンクール優勝、そして才能とは?

数日前より、全盲のピアニスト、辻井さんのピアノコンクール優勝のニュースがテレビを賑わしています。
本当にスゴいですねぇ。普通に日本人が優勝したっていうだけで大ニュースですが、ハンディキャップということで、さらに驚嘆に値する偉業だと思います。
もちろんハンディキャップであることは、彼にとって大変つらい事実だし、音楽家としても不利であるはずなのですが、やや穿った見方をすれば、彼はハンディキャップであることを最大限に生かしているとも感じました。コンクールの審査員とて、その要素を全く抜きに審査できたとは思えませんが、それは悪いことだとも私は思いません。なぜなら、ハンディキャップという視点から表出する世界観が、彼自身の音楽の個性になり得るからです。
今回の受賞で、彼は音楽家として華々しいスタートを切ることができましたが、もちろん今後はプロとしての音楽家の真価が問われることになるでしょう。これからの活動に大いに期待をしたいと思います。

たまたまこのニュースの後テレビでは、誰でも才能はあるけれどそれを生かし切っていない、というようなことを言っていました。
もちろん、辻井さんには幸いなことに演奏家としての才能がありました。むしろ、全盲として生まれたことで、その才能に早い段階で気付くことが出来たように思います。それは、まさに不幸中の幸いでした。
しかし、振り返って自分自身にそんな才能があるかと考えてみたとき、そもそも才能があるか無いかを決めるのは一体誰でしょうか? 才能が無いことをどうやって確認することが出来るでしょうか? 一体いつ私たちは自分に才能が無いと諦めるべきでしょうか?
こういう問いかけは悲観的だし、また教育的でもありません。でも、本当は多くの人が人生の中で直面していて、そして納得しないまま自虐的に振る舞っているような気がします。

今回のニュースの中から「誰にでも才能がある」などというお気楽なコメントが出てくるのは、安易な発想です。むしろ、私は可視化できない才能というものに踊らされるより、自分の本当の力を直視できる力を持つべきだとかねてより思っているのです。
才能という単純な言葉で片付けずに、彼の一体何がスゴいのか、彼の演奏そのものを音楽関係者(演奏家、評論家)が分析して、その内容をもっと多くの人に伝えてもらえればいいのに、と私は思います。彼が奏でる音楽そのものが本来、賞賛されるべきことなのだと思うのです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

March 24, 2009

SheenaRingoEXPo08(林檎博08)

Ringo先日、今年の文化庁の芸術選奨新人賞に椎名林檎が選ばれましたが、その受賞理由でもある、昨年11月のライブDVDが発売され早速購入いたしました。
デビュー10周年記念イベントということで、さいたまスーパーアリーナにて、オーケストラを従えての超豪華なステージ。林檎ファンとしては見逃すわけにはいかないマストアイテムであります。
何しろ、どこまでもエンターテインメントにこだわったステージングに目が釘付け。5回以上に及ぶ化粧直し(その度にヘアスタイルが変わる)、壮大なオーケストラサウンド、林檎の歩みを紹介するスライド上映、おもわずどっきりの包丁パフォーマンス、周り舞台、文字通りお祭り騒ぎを表現した大お祭り隊(阿波踊りの会)、などなど。
なぜか林檎以外の演奏家は全て白衣を着ており、指揮者の斎藤ネコは指揮者というよりは、もはやアジテーターという感じ。いまや重要な林檎的世界の住人の一人になってしまいました。

林檎の歌い方は、曲によってはかなり粘り気のある発音で、演歌的な雰囲気を強調していました。恐らくこれもライブゆえなのでしょう。激しいシャウト、がなりも(嫌な人は嫌なのだろうけど)聞いていて情感が高まります。
オーケストラと打ち込みとバンドの音が交錯し、ポップ、ロック、ファンク、ジャズ、ラテンと様々なジャンルを浮遊する多面的な音楽の世界は、まさに椎名林檎の高い音楽性を示しているとあらためて感じました。さすがに芸術選奨を頂くだけのことはあると思います。林檎ファンでない方にも、このDVDはお勧めです。

一箇所、インストで演奏された「宗教」のオーケストレーションで裏で何度も鳴るシンバルが気になりました。ちょっとあれだけは頂けない感じでしたけど。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

February 14, 2009

オーケストラで聴くプーランクのフルートソナタ

名古屋フィルハーモニー管弦楽団の「バレンタインコンサート」が浜松アクト大ホールであったので行ってきました。
今日の演目で一番気になっていたのは、プーランクのフルートソナタのオーケストラ編曲版(バークレー編曲)。室内楽の中でも、一二を争うくらい好きな曲であるプーランクのフルートソナタ。オリジナルを生で聴いたこと自体無いのに、そのオーケストラ編曲版を聴くなんて本当に滅多に無い機会です。

実際聴いてみて、いろいろと思うことがありました。
そもそもフルートのソリストは、この有名な曲を恐らく何度も演奏したことがあるはずであり、ピアノと阿吽の呼吸でアンサンブルしていたその感覚がかなり身体に残っていたに違いありません。
正直、オーケストラのアンサンブル感とはズレがあって、何度か演奏に乱れがあったように思います。これは、経験があったからこそ逆に、ソリストにとって合わせが難しかったんじゃないかなあという気がします。(実は指揮者が元々フルート奏者らしく、それでこんなマニアックな演目を選んだのではないかと想像しています)

編曲という点からも、ピアノとフルートの音像に慣れていると、いくつか違和感を覚えてしまいます。えー、そのタイミングでティンパニが入るの!とか。元々、二人の演奏者がアイコンタクトで独特のタメを作るのがこういった音楽の面白さであって、各フレーズがいろいろな楽器にばらされることによって、その微妙なタメを作るのが非常に難しくなります。
そう考えると、ピアノの楽譜をオーケストラに編曲するのって、とても難しい作業なんだなと改めて感じました。その場合、ときに原曲の音構造から離れて、ある程度自由に編曲した方がむしろ効果的になる場合もあるでしょう。しかしそれは、原曲の良さを損なうことにもなりかねず、非常に難しい判断になると思います。
なお、原曲では妙に明るくて若干の違和感のあった第三楽章が、最もオーケストラに合っていたように感じました。オーケストラの方が華やかさを表現し易いということなのでしょう。

その他、イベールのフルート協奏曲、プロコフィエフのロミオとジュリエットなど、浜松でなかなか聴けない演目を楽しませて頂きました。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

December 28, 2008

鼓童、上原ひろみ

12月にアクト大ホールで行われた二つのコンサートの備忘録。

●12/17 鼓童 十二月公演2008
鼓童は私が現在追いかけてるアーティストの一つ。一般的イメージとしては、ふんどし一丁の男が大太鼓を力強く叩くマッチョなパフォーマンスという印象があると思います。確かに、それも最後の見所としてちゃんと演目にもあるわけですが、彼らの守備範囲は実はもっと広いんです。
今回も、太鼓を中心とした打楽器だけでなく、笛、琴、胡弓、そして歌、と古来の伝統的な楽器を駆使した幻想的で懐かしさ溢れる音楽が展開されました。
恐らく彼らのパフォーマンスを見て、そのアンサンブル力や演奏技術だけを礼賛するのは、一面しか見ていない見方だと思います。
彼らの演奏からオリジナリティとか、アイデンティティといったレベルのアーティスティックな一面を非常に重視していることがわかります。常に才能のある団員がオリジナル曲を作曲、披露し、音楽だけでなく、所作やステージングの端々までにこだわりを持って一つの舞台空間を作っています。
まさにプロの仕事。アマチュア音楽家はどうしても技術的な面だけをフォーカスしがちですが、最後に人の心を揺さぶるのは芸術としてのトータルな個性、姿勢だということを、あらためて実感したのです。

●12/24 上原ひろみ ビヨンド・スタンダード日本ツアー
同じく私の追いかけているアーティストの上原ひろみ。
今年は先行予約のほぼ初日にチケットを取ったせいか、前から6列目でかぶりつき状態。もちろん、期待に違わぬ素晴らしいコンサートだったのですが、かなり前の席だったこともあり、むしろいつもより4人のバンド演奏を冷静に聴いていたような気がします。
今回は結構アンサンブルの乱れも(というか間違いを)いくつか気がついたり、Nord Electro (上原ひろみが弾くキーボード)故障というハプニングにムッとしている上原ひろみを見られたり。
前半は最新アルバムの曲が中心で、演奏も音数が少なく比較的シブい感じ。いつものノリノリ感が薄いなあと思っていたら、後半に向かって盛り上がっていきました。敢えてそういう展開にしたのかもしれませんが。
後半では、みんなで上原ひろみのお祖父さんの90歳の誕生日を祝ったり(スポットで客席にいるお祖父さんが照らされる)、アンコールでは今、別にツアーをしているタップダンサー熊谷和徳がゲストで登場。思わぬ展開にお得感満点。これも上原ひろみの出身地浜松故のサービスなんでしょうか。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

November 15, 2008

上原ひろみのライブDVD

Hiromidvd上原ひろみのライブDVD("Live in Concert")2枚購入。
いずれも、上原ひろみ初めてのライブDVD。一つは"Spiral"のツアーのトリオ編成のもの、もう一つは"Time Control"ツアーの4人編成(Hiromi's Sonicbloom)のもの。
ジャズの場合、CDでは5分の曲もライブでは10分とか15分とかになるし、ライブならではのハイテンションな演奏も聴けるし、そして同じ曲でもCDとちょっと味付けの異なった演奏になったりするので、CDを聴いているだけではどうしても物足りなくなってしまい、ライブDVDが出るのを本当に心待ちにしていたのです。

あのライブでの感動再び、ということで、ようやく見れましたよ。ライブならではの激しい演奏。
それに奏者に近い位置でのカメラアングルもあって、演奏の指使いから、楽器関係の細かいところまで見れるのはファンとしては何ともうれしい限り。アイコンタクトによる、シビアなアンサンブルの妙なんかもたまりませんね。
もとより、私はトラディショナルなジャズはそれほど興味はなく、ジャンルの垣根を飛び越え、奏者の超絶技巧をベースにした最先端の音楽の一つとして上原ひろみを聴いています。
そんな私を大満足させてくれるDVDとなるでありましょう。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

より以前の記事一覧