April 04, 2012

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March 31, 2012

組織がパフォーマンスを上げるために

会社にしても、趣味の合唱にしても、ある組織がいろいろな問題を解決しパフォーマンスを上げるためには、そのための仕組みづくりが必要です。
何か問題があったとします。技術的な問題であれば、すぐに考えるのは、技術力を上げるために何か講義を受けたりレッスンを受けたり、という取り組みをすることが思い付きます。
例えば合唱団で言えば、発声が良くないと言われたらボイトレをやろうというような取り組み。これは合唱でなくても、いろいろな組織で通常行なわれることです。

さて、そのような取り組みをした結果、成果は出たでしょうか?
たいていの場合、個人のスキルが向上したかどうかを判断するのは大変難しいものです。これだけ練習したんだから、これだけお金をかけたのだから、これだけ特別レッスンしたのだから、自分のスキルが向上したのだと誰もが思いたい。もちろん、それを企画した人もそう思いたい。
そういう気持ちが前に立つと、取り組みをしたことだけで自己満足してしまい、本当にスキル向上があったのかが曖昧にされてしまいます。少なくとも、みんなが決めてやったことなのだから、意味が無かったとはとても言いにくいでしょう。

それを判断出来るのは、客観的に判断できる第三者です。
それは能力の問題とかではないのです。同じ組織内にいたら感情的な問題もあるから言いづらいこともあるでしょう。だからこそ、外部に何らかの客観的な指標を求めなくてはなりません。
それは合唱団の場合、コンクールというような方法もあるでしょうが、それだけではありません。とある有識者に定期的に意見を伺うだけでもいいのです。同じ人なら、前と比べて良くなったとか判断してくれます。いわば定点観測というやつです。

つまり組織が何らかのパフォーマンスを上げようと思った場合、内部で直接的に技術向上のための取り組みをするだけでは足りないと思うのです。
組織がパフォーマンスが上がったと判断するための客観的指標を用意し、その状況を内部に対して報告する必要があります。こういうフィードバックがあればこそ、個々人がどのように技術向上に取り組んだら良いかの判断となるし、どのような取り組みが有効だったかを検証できるはずです。

もちろん、これは概念論です。じゃあ具体的な指標はというと実はかなり難しいです。しかし指導したりチームを主導する立場なら、自分たちの取り組みを自画自賛するだけでなく、謙虚に周りの人からの意見を聞き、それを自分なりに咀嚼した上で、チームメンバーに伝えるだけでもいいのです。
リーダーにあたる人が常に客観的な判断を外部に求めるような態度が重要だと思います。

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March 26, 2012

音律と音階の科学/小方厚

私も前に「音のリクツ」と題して類似の話題の連載をした身として、この手の本は大変気になります。さっと見渡して、内容的には自分にとって既知のものではあったものの、説明の仕方とか、そこから滲み出る音楽観とか、そういう部分において刺激を受けた本でした。

ただし、この本、ブルーバックスだけあって、理系人間を主な読者として想定しています。
数学的な話題もある程度突っ込みますし、数式やグラフを使って分かり易くさせようという意図が、かえって理系的になってさえいます。
しかし、それらは単純な物理的理屈だけではなく、必ずそこに音楽文化としての側面や歴史的側面があり、また一般にはそれほど知られていないような試みへの言及なども記述されるなど、著者の音楽に対する造詣の深さが伺うことが出来、なおかつ読み物として大変面白く書かれていました。

特に第4章からのアプローチは私も全く初めて聞くことで興味深かったです。
どんなアプローチかというと、倍音構造を全く持たない(純音)二つの音がどのような関係にあるとき、人は心地よく感じるか、という研究結果から音階の協和度を考えていくという方法。
まず、二音の関係からのアプローチのグラフは実に面白いです。音楽的な解釈無しでこのグラフを見るならば、二つのピッチが近いほど心地悪く感じ、ほとんど同じピッチになる直前で(同じ音に感じるようになるので)、また心地よく感じるようになります。
実際の楽音での音階上での二つの音程の心地よさは、このグラフを倍音毎に計算し全てを足し合わせたものになると考えます。そこで、一般的な倍音構造を持った音から1オクターブ内で心地よくなる音を探す計算を行ないます。
そうすると、そこで現れるのはいわゆる純正律の音階となります。
この論旨の流れは、私の理系センスをいたく刺激しました。音楽理論とは全く別の観点から、気持ち良い音階が純正律であることを計算で導いているのです。

最終章の音律の冒険も興味深く読みました。全く新しい音律を作ってしまおうという試みがいろいろ紹介されています。今のように電子楽器が発展している時代なら、このような楽器は簡単に実装できそうです。何かネタとして面白そうな予感を覚えました。
個人的には、これはお仕事で使えないかななどと考えています。楽器設計をする若い人には読んでもらいたいからです。

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March 22, 2012

マジメに電子楽譜について考えてみるーコピー制限について

音楽出版社を巻き込んで、オンラインの電子楽譜データショップが出来たら電子楽譜の存在意義も高まるでしょう。
その際、避けて通れない話題は買ったデータのコピー制限の問題です。

例えば、自分がショップで買ったデータがPDF書類だったとします。このPDF書類にコピープロテクトの仕組みが全くないと、人にタダでコピーしてあげることが可能になってしまいます。
もちろんこの話題は、もう10年以上に渡って議論されたことです。特に音楽配信については、厳格なコピー制限(DRM)をかけることが行なわれてきたのが、だんだんとDRMフリーの流れに変わってきています。また、機器に対する私的録音補償金精度と称して、著作権料を製品価格に上乗せするような仕組みもありますが、これに関しても補償金を払いたくないメーカーの抵抗で、十分に機能しているとは言い難い現状があります。

購入したデータのコピー問題というのは、そういう意味で大変根の深い難しい問題です。
しかしこの件を事前に解決しておかないと、出版社との交渉の際、理解を得ることは難しいと思います。
確かに世の流れは、DRMフリー、補償金フリーなのですが、電子楽譜という新しいハードウェアと新しいデータ市場に関していえば、まずはDRMのような仕組みを作るべきだと考えます。

その理由は、まず楽譜の市場はそれほど大きくないという点です。
音楽データや書籍は、ある人気商品が何十万、場合によっては何百万という単位で売れることがあります。しかし楽譜は万単位で売れることはまれだと思います。特に演奏の難しい楽譜になれば、その販売数は激減するはずです。このような大きさの市場においては、データの価格も多少高めにせざるを得ず、コピー可能であることは音楽出版社にとって死活問題であることが予想されます。
次に、類似商品の少なさです。これから初めて電子楽譜のハードウェアを作ろうとしているのですから(え、誰が?)、まずはそのハードウェアに最適化されたデータが売られるはずです。音楽みたいにステレオの音声が出ればいい、という単純な仕様ではありません。表示の形、ピクセル数、表示速度などハードの性能に合わせたデータ作りが必要になるかもしれません。音楽はどんな環境でも聴きたいと思うからDRMフリーが歓迎されますが、デバイスとデータが密接に紐付けされるのなら、DRMがかかっていても文句を言う人は少ないと思われます。
もちろんこの問題は、実際に端末が売られて数年後に顕著になる話です。DRMはまず対応しておいて、その後に問題が生じたら対策を考えるくらいでも良いかと思っています。

具体的なDRMの方法はどうすべきでしょうか。
これは少々技術的な話になりますが、購入されたデータが例えばPCを利用しても簡単にファイルとして抜き出せないようになっているのであれば、それでも良いと思います。
ただし、PCはやる気になればいくら隠してもファイルを見つけることは出来そうなので、その方法をやるなら少々工夫が必要かもしれません。
もう一つは、データを暗号化することです。暗号化を解除するためには個別のキーが必要になります。個別のキーを作るためにあまり面倒なことをユーザーに強いたくはありませんので、出来れば電子楽譜の機器に固有のIDを振りたいところです。
機器に固有IDを振るのは、製造工程にちょっとだけ負荷がかかりますが、暗号化する場合はそれが最もスマートなやり方のように思えます。

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March 18, 2012

マジメに電子楽譜について考えてみるー新しい楽譜の買い方

ずっと電子楽譜のハードウェアの話をしてきました。
この辺りから、私の専門のソフトウェアの話を書いてみます。

ソフトウェアと言っても、この電子楽譜の機能についてではありません。機能についてはまた別途機会を設けますが、むしろ大事なのは楽譜の入手とこの機器への入力方法です。
そんなの、楽譜の画像をグラフィック用のファイルか、PDFにしてUSBで転送すればいいじゃん、と言って話を終える人もいるかもしれません。多分多くの人はそういう感覚を持っていると思います。

しかし私は電子楽譜にとってむしろ一番大事なのが、この部分ではないかと考えています。
なぜなら、ここにはとてつもないプラットフォームビジネスの芽があるからです。それは一言で言えば、iPodとiTunesでAppleが確立した方法です。AppleはiPodを作り、たくさんの音楽を持ち運べるようにしました。iTunesを使って手持ちのCDをPCにリッピングし、それをまとめてiPodに送るようにしたのです。そこまでならそれほど大きな話ではありませんでした。
しかし、次にAppleはiTunesの中にオンラインのレコードショップを作りました。多くのレコード会社がそれに参加し、iTunes Storeで音楽を電子のまま購入することが可能になりました。確かに、CDの質感とか、リーフレットとか、モノを持っているという満足感は得られませんが、聴ければ十分という人たちのニーズは確実に満たせたわけです。
そして今では、iTunes StoreはアメリカでNo.1の音楽小売りショップとなってしまいました。

もちろん、上記のことはご存知の方も多いことでしょう。では、これと同じことを電子楽譜で出来ないものでしょうか。
つまり、楽譜をスキャンしてPDF化する(リッピングする)ソフトや、そのような楽譜データをまとめて電子楽譜に送るようなPC上のソフトを作ります。そして、そのソフト内にて、オンラインの楽譜ショップを作るわけです。
もちろん本当にそれを実現しようと思ったら、多くの音楽出版社に電子楽譜を売りませんか、という交渉をしなければなりません。これは、世界規模でやろうと思ったら簡単な話ではありません。
しかし、楽譜は一般書籍と違ってそれほど数が出るわけではないけれど、長い間売れ続けるというタイプの商品です。合唱のように団単位で同じものがどっさり売れるというのはレアケースで(そのため合唱は楽譜のコピーが多いのですが・・・)、個人が楽器の練習用に買うケースがほとんど。またオーケストラであればパート譜をレンタルで、というような形でしか演奏用の楽譜を入手出来なかったりします。

このような状況においては、楽譜出版社にとって、楽譜を電子化するのはむしろ大変嬉しいことだと思うのです。
何しろ印刷楽譜の在庫を持たなくていいのです。そのくせ、電子データは将来にわたって売れる可能性がありますから、一度版下さえ作れば、その後は大きなコストがかからずに売り上げが入ることになるのです。
もっともこれは楽譜ビジネスを良く知らない、一技術者のたわごとなので、もしかしたらそんな単純な話ではないかもしれませんが・・・

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